「顧客を増やしたい」「売上を伸ばしたい」と考えたとき、真っ先に思いつくのは広告を出して新しい顧客を獲得することではないでしょうか。
しかし、新規顧客の獲得には時間やコストがかかり、必ずしも効率的とは言えません。
ここで重要になるのが「LTV(顧客生涯価値)」という考え方です。
既存の顧客に長く価値を提供し、リピート購入を促すことで売上を最大化するというアプローチです。
マーケティング初心者の方でも分かるように、具体例を交えながら分かりやすく解説していきますので、ぜひ最後まで読んでLTVの基本をマスターしましょう!

LTV(Life Time Value)とは、顧客が企業に対して与える経済的価値を生涯にわたって計算したものです。
一言で言うと、「1人の顧客が一生のうちにどれだけお金を使ってくれるか」を表します。
例えば、あなたが月額1,000円のオンラインサービスを提供しているとします。
1人の顧客が15ヶ月間利用してくれた場合、その人がもたらした売上は15,000円になります。
この15,000円が、その顧客のLTVというわけです。
新規顧客を獲得するには、広告やキャンペーンなどマーケティング施策が必要です。
このため、1人の新しい顧客を獲得するためにかかるコスト(顧客獲得コスト:CAC)が高くなります。
一方、既存顧客に対するアプローチ(リピーター施策)は、すでに商品やサービスを購入した経験があるため、信頼が築かれています。
広告に大きなコストをかけなくても、ポイント制度やメールマーケティングなど、比較的コストが少ない方法で再購入を促せます。
新規顧客を獲得するのは、既存顧客を維持するのに比べて5倍のコストがかかると言われています。
そのため、LTVを高めることは利益率を改善する上でも非常に重要です。
マーケティング戦略を効果的に設計するには、LTVの理解が欠かせません。
以下に、LTVを把握することで得られるメリットを詳しく説明します。
LTVが高い顧客が多い場合、広告やプロモーションに多少多くの予算を割り当てても収益性が維持できます。
一方で、LTVが低い顧客ばかりをターゲットにしてしまうと、せっかくのマーケティング投資が赤字になりかねません。
例えば:
- 商品A(商品単価300円、平均購入回数50回)の顧客の平均LTV:15,000円
- 商品B(商品単価500円、平均購入回数10回)の顧客の平均LTV:5,000円
この場合、商品Aの顧客をターゲットに広告予算を多く割り振るほうが効率的です。

顧客をリピーターにすることは、ビジネスの成長に直結します。
例えば、以下のようなメリットがあります。
- リピーターは新規顧客よりも購入額が高い傾向がある
- 商品やサービスへの信頼が高いため、他の人に口コミで紹介してくれる可能性も高い
これらのポイントを意識して、LTVを高める施策を考える必要があります。
LTVを計算するには、次の3つの要素が必要です。
- 平均購入単価(1回あたりの購入額)
- 購入頻度(1年など一定期間で何回購入するか)
- 購入継続期間(顧客がどれくらいの期間購入を続けるか)
これをもとに、LTVを計算する基本式は以下の通りです。
LTV = 平均購入単価 × 購入頻度 × 購入継続期間
例としてサブスク制のサービスとECサイトのLTVの算出を行ってみます。
あるオンライン動画配信サービスで以下の条件を考えます。
- 平均購入単価:月額1,000円
- 購入頻度:1回/月
- 購入継続期間:12ヶ月
この場合のLTVは
LTV = 1,000円 × 1回 × 12ヶ月= 12,000円
となります。
次に、ECサイトの例を見てみましょう。
- 平均購入単価:5,000円
- 購入頻度:年に4回
- 購入継続期間:3年
この場合のLTVは
LTV = 5,000円 × 4回 × 3年 = 60,000円
LTVを計算することで、どの顧客にどの程度のコストを割くべきかが見えてきます。

LTVを高めるにはどのような施策が効果的でしょうか?
以下に具体的なアイデアを挙げてみます。
ポイント制度
購入ごとにポイントを付与し、次回購入の割引として利用可能にする。
メールマーケティング
顧客の購入履歴に基づいておすすめ商品を提案。
特にセール情報や限定クーポンを送ることで購入を促進。
アップセル
顧客に上位商品を提案する。たとえば、通常プランをプレミアムプランにアップグレードしてもらう。
クロスセル
購入した商品に関連する商品を提案する。
例えば、スマートフォンを購入した顧客にケースや充電器をおすすめする。
顧客満足度を高めることで、リピート購入の可能性が高まります。以下の施策を検討してみましょう。
- 購入後のサポートメールを送る
- 簡単にレビューが書ける仕組みを作る
LTVを理解することは、顧客を大切にしながら売上を拡大させる第一歩です。
今回のポイントをおさらいしましょう。
- LTVは「顧客が生涯で生み出す価値」を示す重要な指標
- 平均購入単価、購入頻度、購入継続期間をもとに計算できる
- LTVを高めるには、リピート施策やアップセルを取り入れる
LTVを基準に、より効率的なマーケティング施策を実現しましょう!