BtoBマーケティングのKPI設計とは?営業連携まで意識した考え方

BtoBマーケティングに取り組む企業が増える中で、成果を上げるための指標、「KPI(重要業績評価指標)」の設計に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
特に、BtoBにおいては「マーケティング部門」と「営業部門」が別々の目標で動いてしまい、施策の効果が見えにくくなってしまうケースがよくあります。

この記事では、KPIの基本的な考え方から、BtoBにおける営業連携を意識したKPI設計のポイントまでを、初心者にもわかりやすく解説します。

KPIとは?KGIとの違いも押さえておこう


まずはKPIの基本からおさらいしましょう。

KPI(Key Performance Indicator)は、日本語で「重要業績評価指標」と訳される指標で、目標達成までのプロセスを可視化・管理するための中間目標です。

これとセットでよく使われるのがKGI(Key Goal Indicator)。
こちらは「最終的なゴール(目標達成指標)」を指し、たとえば「年間売上〇〇円の達成」「受注件数〇件」など、事業の成果そのものを指します。

BtoBマーケティングにおけるKPIとは、たとえば以下のような指標です。

  • 月間リード獲得数(資料請求、ホワイトペーパーDLなど)
  • ウェビナーやセミナーへの参加者数
  • サイト経由の問い合わせ件数
  • 獲得リードの商談化率(MQL → SQL)
  • 施策別のCV率(広告・SEO・SNSなど)

これらのKPIは、KGIを達成するための「途中経過」を測るものです。
そのため、「なんとなく増えている」ではなく、「この数字が上がれば売上が伸びる」というロジックが必要になります。

BtoBでKPI設計が難しい理由


BtoBにおいてKPI設計が難しい理由は、顧客の意思決定プロセスが長く、複数の接点をまたぐことが多いためです。
たとえば、ある企業が自社のSaaSを導入するまでには、以下のようなフローをたどることが一般的です。

  1. 情報収集(検索・比較・資料DL)
  2. 社内共有(上司や別部署との相談)
  3. 初回相談(問い合わせ・商談)
  4. 比較検討(他社との比較)
  5. 社内稟議
  6. 導入決定

このプロセスのどこをKPIとして測るべきか、判断が難しいのです。
さらに、マーケティングだけではリードを商談・受注に結びつけるのが難しいため、営業との連携が非常に重要になります。

営業連携を前提にしたKPI設計の考え方

営業とマーケティングが別の方向を見ていると、たとえリードが増えても成果にはつながりません。

そこで必要なのが「共通KPI」の設計です。
以下に、営業連携を意識したKPI設計のステップをご紹介します。

1. KGIから逆算して全体像を描く

まず、売上・受注数といったKGIを設定し、それに必要なリード数・商談数を逆算します。

例:年間1億円の売上目標 → 平均単価100万円 → 年間100件の受注が必要
商談から受注の確度が30% → 商談数は約333件必要
商談化率が20% → リード数は約1665件必要

このように、KGI → 商談数 → リード数という構造で分解すると、必要なマーケティングのアクションが見えてきます。

2. MQL・SQLの定義を営業とすり合わせる

MQL(Marketing Qualified Lead)とSQL(Sales Qualified Lead)の定義は、必ず営業とすり合わせておくことが重要です。

  • MQL:ホワイトペーパーDLやウェビナー参加など、一定の関心が見られるリード
  • SQL:営業が「追うべき」と判断する確度の高いリード

ここでズレがあると、マーケは「リードを送ってるのに…」となり、営業は「質が悪いリードばかりだ」と不満を持つ構図になりがちです。

3. 営業活動に連動した中間KPIを設計する

受注までのプロセスで、以下のような中間KPIを設定すると、営業側との連携がしやすくなります。

  • MQLからSQLへの転換率
  • SQLから初回商談への到達率
  • 初回商談から提案フェーズへの移行率
  • 商談から受注までのリードタイム(日数)

このような中間指標があることで、「どこでボトルネックが起きているか」を分析しやすくなります。

4. 数だけでなく“質”を評価する視点も取り入れる

KPIは数値で測れるのが前提ですが、「獲得リードの質」という観点も非常に重要です。

たとえば以下のような指標も加えると、より立体的に効果を把握できます:

  • ターゲット企業とマッチしているリードの割合
  • 流入チャネル別の商談化率
  • リードの職種・役職分布(意思決定者層かどうか)

単なる数稼ぎにならず、「売上に近いリードを獲得できているか?」の視点がKPIを活かす鍵です。

KPIを“生きた指標”にするために


KPIは設定して終わりではありません。
定期的に振り返り、改善していくことで初めて意味を持ちます。

そのためには以下が重要です。

  • 月次・週次で営業とKPIを共有する機会を設ける
  • ツール(CRMやMAツールなど)でデータを一元化する
  • KPIが“現場に浸透しているか”を確認し、必要なら見直す

営業とマーケの目線がそろっていないKPIは、組織のノイズになりかねません。
逆に、両部門が一緒に設計・運用しているKPIは、強力な“共通言語”となります。

まとめ

BtoBマーケティングにおいて、KPIは「成果を測るためのもの」だけでなく、「組織を一体化するためのもの」としても重要です。
KGIから逆算し、営業と連携した形でプロセスを可視化・共有することで、マーケティングの効果は格段に高まります。

KPIを“管理の道具”ではなく、“成長の道しるべ”として活用できるよう、営業との対話を前提に設計していきましょう。

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